「ある腐女子の恋」
出会いや恋は、全てが素晴らしいわけではありません。中には公開していたり、もう思い出したくないと思っているようなものもあるでしょう。そんな恋愛話を、経験談としていくつかご紹介していきます。
持って帰りたかった声
わたしはいわゆる「腐女子」で、とにかくアニメが大好きな、現実の世界には何一つ期待していないような女子です。
職場と家の往復だけをして、休みの日はほぼ家の中でアニメと、大好きな声優さんのラジオやブログをチェックすることに命を捧げています。
買い物も仕事帰りにコンビニに寄るくらいで、ほとんどネットで済ますような、プチ引きこもりです。
そんなわたしが、つい最近までしていた、他愛もない恋愛などとは、とても呼べないようなお話にお付き合いください。
いつものように、仕事を終え、家の近くにコンビニで適当に夕飯を選び、レジに持っていくと、新しく入ったと思われるバイトの男の子が、ぎこちない雰囲気で「いらっしゃいませ〜」と言ったその瞬間でした!
わたしの全神経に電気が走り、思わずその新入りバイト君をマジマジと見つめてしまったのです。
なぜなら、わたしの大好きな声優さんに、声がそっくり!だったのです!
新入りバイト君は、チンパンジーの赤ちゃんみたいな、決してかっこいい顔ではありませんでしたが、その声はわたしが毎晩体を火照らせている、あの声優さんのその声、まんまだったのです。
それからというもの、わたしは毎晩仕事帰りにコンビニに行くのが、楽しみで仕方なくなっていました。
この頃から、わたしは必ずお弁当を買うようにしていました。
なぜなら、新入りバイト君があの声で、「温めますか?」と聞いてくれるからです(笑)!
それから、とにかく新入りバイト君にいろんな言葉を、特にちょっとHな言葉を言わせたくなり、食べたくもないのに「フランクフルト」を取らせてみたり、小銭があるのに「1万円」を出してみたり、今日はどんな言葉を言わせようかと、毎日ワクワクしていました。
そして、わたしのこの密かな楽しみは次第にエスカレートし、「あの声を家でゆっくり楽しみたい」と思うようになりました。
しかし、腐女子で恋愛経験もないわたしが、男の子を誘うことなど出来るはずもないので、高性能ボイスレコーダーを購入し、毎回あの声を録音することにしたのです。
ベッドの中で聞く「温めますか?」で、何回も体を火照らせました。
とても人には言えないような、腐女子の、陰湿な、他愛もないお話です。